親や義実家との折り合いが悪く「親の介護なんてしない!」と全力拒否している方も、心理的に親と距離感があって「親の介護なんてしたくない!」という方も、老いは誰にでも確実にやってきます。
ほとんどの人が避けては通れない親の介護をいかに乗り切るか。
ここでは介護する側のメンタル面から、法律的な問題、介護保険支給制度、実際の体験談まで、あらゆる視点からあなたの役に立つ情報をお届けしたいと思います。
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親の介護なんてしない!派のあなたへ
毒親という言葉が氾濫している昨今、親との確執を抱えながら介護したくない、もう赤の他人同然の親の介護など絶対にしないという声も耳にするようになりました。
また義両親と折り合いが悪いというのも古今東西よくあることですよね。
理由としては親とのお金や暴力、アルコールの問題、また過干渉から受けた精神的虐待など様々な問題が浮かび上がってきます。
また義両親とは価値観が違ったり、相性が合わなかったりとメンタル面での葛藤は大小に関わらず、誰しも経験したことがあるのではないのでしょうか。
ここではそれらの確執の良し悪しをジャッチメントする訳ではなく、実際に介護に直面してしまった時の具体的な対処法をお伝えしていきたいと思います。
親の介護ってしなくてもいいの?法律的には問題ない?
法律的な観点から申しますと、民法では「親の介護は子どもの義務」と定められています。
つまり現在の法律では、子どもは一生親の介護をする義務があるのです。
もしも介護が必要な親の面倒を放棄し、その親が死に至った場合は「保護責任者遺棄致死罪」という罪に問われ、懲役3ヵ月以上5年以下という刑事罰が科せられることもあります。
「親の介護はしない!」派のあなたからしたら非常に気の重くなる話でしょう。
しかし介護は義務であって強制ではありません。
あくまで自分の生活に余裕がある場合にだけ生じるもののようです。
その上、法律で定められているのは扶養の義務=お金の支援であって、身体的な介護の義務はないのです。
かつ介護する側に金銭的余裕がなければ、家庭裁判所でしかるべき手続きを踏むと介護を免れる場合もあります。
親の介護をしない!したくない!ことに罪悪感を抱いている方へ
親と心理的に距離がある方にとって大きな問題の1つが、親孝行できないという罪悪感ではないのでしょうか。
そこで親が元気なうちにやっておきたいことが、プロのカウンセラーの手をかりるということです。
そんな声が聞こえてきそうですね。
そこでオススメなのが、日本臨床心理士資格認定協会が認めた臨床心理士や、国家資格でもある公認心理士といった資格を持ったカウンセラーさんが所属する機関です。
そういった実力や経験値の高いカウンセラーさんの力を借りて、ご自身が老後の親とどうかかわっていきたいかを一度相談してみることをオススメします。
親の介護相談を通して、親との関係を見つめ直すことが自身の悩みや苦しみから楽になる方法を見つけることに繋がるのです。
私の悩みはちょっとそこまで重くないかも…と二の足を踏まれる方には、自治体にもこういった相談を気軽に無料で受け付けてくれる窓口があります。
親の介護なんてしたくない!派の実例
私事で恐縮ですが、実は筆者の義母もつい最近介護が必要となりました。
義母はコロナ禍でうつ病を発症し、あっという間に寝たきりになりました。
身体的には何の問題もないのですが、危機に立ち向かう気力がなく、心の老後を迎えてしまったのです。
しかし私と義妹は姑に対する確執を抱えており、普段から姑とあまり交流がありませんでした。
義母は人付き合いが好きで華やかな魅力的な方でしたが、子どもや孫を育てるということには無関心だったのです。
勿論義母の人生ですから好きに生きる権利があるのですが、子育てが一番大変な時に助けて貰えなかったという辛い思い出が深い溝を作ってしまいました。
そこで実際の介護に際して、義妹が提案してくれたのが「自分の親は自分で介護」方式です。
つまり義母の介護は実の子どもである旦那達が主で、妻である私たちはセカンドヘルプという体制にしました。
このように役割を分担することで責任を背負い込みすぎず、かつできる範囲で介護に関わることで罪悪感も解消できます。
親の介護は福祉サービスをフル活用
次にいざという時の実際の使える介護サービスをご紹介したいと思います。
まずは自治体の介護相談窓口か地域包括センターを訪ねましょう。
そこでは介護保険支給制度について詳しく教えてくれます。
この制度を利用するには、まずケアマネージャーと呼ばれる福祉職員が実際に親と面談し、介護度合いを判定します。
そして要介護と認定されると、様々な介護福祉サービスの支払いを1割負担だけで利用することができるようになるのです。
この介護度というのが、軽い場合は要支援1~2、重い場合は要介護1~5までと判定されます。
ここでは注意すべき点は、症状の度合いによって受けられるサービスにも限度が出てくるということです。
つまり症状が重ければ重い程、金銭的な補助が得られるというシステム。
実際に「親の介護なんてしたくない!」という方が、このサービスをフル活用して遠隔介護をした、という実例もありますよ。
親の介護に福祉サービスを利用した実例
それでは実際にこの福祉サービスを利用した義母の例をお話しましょう。
その頃の義母はうつ病のためほとんど寝たきりで、足腰が弱り転んで怪我をしてしまったため、トイレに行くことさえもためらっていました。
しかしケアマネージャーさんが義実家を訪ねた際、義母が発した言葉は「私は大丈夫。問題ない」でした。
食事やトイレもままならず、親族には「死にたい」と口にしていたにも関わらず、です。
親の介護シーンでは、このように本人がもう冷静な判断ができなくなっていることも少なくありません。
しかしそこで身近な人が本人の衰えを指摘してしまうと、より一層本人が心を閉ざしてしまうため、面談では傷付かない程度のことを伝えました。
そして面談後に義母のいない所で実際の様子を詳細に伝えたのです。
面談での義母の受け答えはしっかりしていただけに、ケアマネージャーさんも驚いていたそうです。
後日状態に見合った介護認定を頂け、義母はいくつかの介護施設を見学し、一番気に入った所に入所しました。
最初はサービスを受けることに不安と抵抗を感じていた義母ですが、入所後は「ホッとした」と語っていたそうです。
親の介護なんてしない!したくない!派のモヤモヤを解消する方法まとめ
親や義両親と折り合いがよくない、または理解し合えない間柄であったりすると、介護に対してより一層不安が増しますよね。
次のポイントを抑えつつ、来るべき介護に備えましょう。
- 法律上では親の介護は義務であるが強制ではない。
- 金銭的に余裕がない場合は介護が免除される手続きもできる。
- 親が元気なうちに、親の介護についてプロに相談し、自分の気持ちを整理しておく。
- 実際の介護では福祉サービスをフル活用
私自身、距離感のある義母の介護を経験した者として、こういった介護の辛さを本当に痛感しました。
この記事が、あなたの辛さが少しでも和らぐヒントとなることを心から願っております。
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